田山花袋「蒲団」のあらすじと感想

田山花袋「蒲団」のあらすじと感想

 

 12月になり一段と寒さが増してきましたね。できることなら、一日中蒲団に潜り込んで寝ていたいような季節です。今回はそんな布団が題名になっている田山花袋の『蒲団』を読んでみたので、その感想を述べてみようと思います。

 

 まず、田山花袋といえば日本史の教科書にも載っているような有名な大正時代の作家で、見たり感じたりしたままのリアルな世界を描写する自然主義の先駆者とも言える人です。

 

 さて、いきなりですがこの本の感想を一言で述べるなら、キモい!!!昔の人の考えはよく分からん!!!という感じです(笑) 

 なかなかボロクソに言ってしまっていますが、この本のあらすじを読んでいただければ、きっと共感してくれるのではないかと思います。

 

 この本の主人公は30歳過ぎの作家・竹山時雄です。時雄は子供が既に3人いる既婚者(←ここ大事!)です。彼は単調な生活に飽きており、作家としての能力をいかんなく発揮して(?)不倫の妄想を膨らませたりしながら日々過ごしていました。

 

 ある日、そんな彼の生活に転機が訪れます。横山芳子という18歳の女子大生が手紙で彼に弟子入りを志望してきたのです。最初時雄はこの申し出をむげに断っていましたが、手紙でやり取りを重ねるうちに、芳子の時雄に対する並々ならぬ尊敬の念と彼女の文学への想いに動かされ、ついに芳子の弟子入りを認めました。

 

 時雄はまだ顔も見たことのない芳子を「せめて並程度の容姿であってほしい」などと思っていましたが(失礼!)、上京してきた芳子を見てびっくり、彼女は容姿端麗でハイカラ(現代風)な女性、つまり時雄のタイプにドストライクだったのです!

 

 時雄は芳子にあくまでも師匠と弟子としての関係で接しますが、心の中では芳子と浮気する想像を膨らませていきます(うわぁ...)。しかも芳子の方も時雄に気があるのか、なんだか誘われている気がして...、とまぁこんな生活を続けるうちに時雄は頭の中が常に芳子でいっぱいになっていきます。

 

  しかし、そんな中ある事件が起こります。

 

 一時的に実家に帰っていた芳子が東京に戻る際、彼氏を作り、2人で京都旅行をしていたことが発覚します。彼氏も芳子もまだ学生の身、芳子の父親はそんな2人の関係を認めるはずがありません。

 悩んだ芳子は、なんと師匠である時雄に助けを求めます。芳子を愛する時雄は苦しみますが、最終的に「温情な保護者」として2人の恋を応援することに決めます。これを聞くと「時雄かっこいい!」と思うかもしれませんが、実は時雄は芳子への思いを捨てきれず、この後もずっっっとぐずぐず悩み続けるのです(おいおい...)。そこで、時雄は表面上は芳子を応援しつつも、2人がこれ以上近づきすぎないように芳子を監督します。

 

 芳子と彼氏はしばらく手紙で遠距離恋愛を続けていましたが、なんと彼氏が芳子を追いかけて上京して東京に住み着くようになります。より親密さを増していく芳子とその彼氏。この関係をこれ以上実家の父親に隠し続けることはできないと感じた時雄は、2人を引き離すため、芳子を実家に帰すことにします。もちろん時雄は芳子を愛しているから自分の側から離れてほしくはないのですが、別の男に取られてしまうくらいなら実家に帰してでも2人のなかを引き裂いてやりたい!そんな思いが時雄を支配したのです。

 

 物語はいよいよクライマックス。芳子は迎えに来た父親と共に汽車に乗って帰っていきます。この時、彼氏がこっそり見送りに来ていたのですが、芳子との思い出と悲しみで頭がいっぱいの時雄はそれにすら気がつくことができないほどでした。

 

 そんな精神状態で家に戻った時雄。芳子の部屋に行ってみますがもう芳子はいません。芳子が恋しい時雄は「懐かしさ、恋しさのあまり、かすかに残ったその人の面影を偲ぼう」として、机にしまわれていた芳子のリボンを取り出し、その匂いを嗅ぎます。そして次に押し入れから芳子の布団と夜着を取り出して、その匂いを嗅ぎます。もう帰ってこない芳子を恋しく思う時雄は「性欲と悲哀と絶望」に包まれて、なんと、、、

 

芳子の蒲団を敷き、その上で夜着に顔を埋めて号泣します(゜д゜;)

 

 物語はここで終了です...。

 

 いかがだったでしょうか。私は正直言って時雄に全く共感できませんでした(笑)。むしろ時雄のキモさにちょっと引いています。時代の違いもあるとは思いますが、当時の人はこれを読んでどのように感じたのでしょうか...?昔の人も私みたいにキモっっっ!!!と思っていただろうと信じて、今回はこの辺で終わりにしようと思います(笑)。

 

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました(* ᴗ ᴗ)⁾⁾